英文による街頭紙芝居の紹介

カリフォルニア州立大学サクラメント校で歴史を教えているジェフリー・ディム教授の、街頭紙芝居についてのイントロダクションです。

紙芝居を知らない外国人の方々に向けて書かれたものですが、重要な事柄がコンパクトにまとまっており、我々日本人にとってもわかりやすい資料だと思います。リンクフリーとのことですので、是非ご活用下さい。

http://www.kamishibai.com/resources/Docs/jeff’skpaper.pdf

なお、資料内9ページ、”Is Kamishibai a Communal Event?”の項に、私もご紹介頂いています。

街頭紙芝居10則

加太こうじ先生、永田為春さん、森下正雄さんからのご指導や、文献などを元に、『街頭紙芝居10則』としてまとめました。

幼稚園等でおなじみの教育紙芝居、イベントでおなじみの創作紙芝居とは異なる、紙芝居屋さんのノウハウです。

今後、このブログで詳しく解説していきます。

街頭紙芝居 10 則

1.舞台の隣に立って、絵を見ながら読む

2.観客が絵に集中できるよう、体を動かさない

3.演じようとせず、地声でゆっくり読む

4.マンガ・活劇・新派で、心持ちを切り替える

5.会話と地(説明)では読み方を変える

6.声の高さ・強さ・早さを組み合わせて読み分ける

7.絵を見ながら、絵が喋っているように読む

8.観客の想像力をかき立てるよう、集中して抜く

9.演出に合わせた抜き方を選ぶ

10.場数を踏んで、ゆとりを持って読む

目標

紙芝居屋さんを街角の風景に戻す

街頭紙芝居の価値
・日本で生まれた日本にしかない風俗(場 / 語り口 / 原画)
・ストリートカルチャー(昭和恐慌や敗戦時、失業者や復員兵が溢れる暮らしが生み出した風俗)
・日本マンガの源流のひとつ

街頭紙芝居における、保存とその問題点
<場の保存>誰でも街角で紙芝居屋さんが始められる、インフラづくり

・現在、路上で菓子を売りながらの紙芝居はできない。(最後の紙芝居師免許も、昭和57年失効)
・街頭紙芝居では生計を立てられない。
・時勢柄、知らない大人への警戒心が強い。外で遊んでいる子供が少ない。
・原画が利用できない。
<語り口・読み方の保存>継承していく伝統芸能ではなく、誰でも始められる商売としての読み方
イベントしかできなくなって久しいので、現在ではパフォーマンスとして様々な発展をみせている。反面、子供
の注意を引くため精錬された「独特な語り口」が失われ、「読む」から「演じる」へ変化してきている。
<原画の保存と利用>誰でも原画を閲覧し利用できる、環境づくり
保存:原画は手描きの一点物だが、貸元がほぼ潰れてしまい市場に出ても価値が低いため、あまり残っていない。
街頭紙芝居は都市部中心の風俗なので、戦前の原画は空襲により焼けてしまったものが多い。
利用:原画は手描きの一点物だと認知されていくと同時に保存の動きは広がってきたが、そのため逆に原画を利
用することは難しくなっている。街頭紙芝居は日本固有の風俗なため海外でも研究対象になっているが、
研究者でも見せてもらえない場合もあり、一般の人が実演に使うことは購入しない限り難しい。

街頭紙芝居を街角の風景に戻すための一例
・「紙芝居屋さん」として市区町村で登録し、身元を明確にした定年退職者などが、地域で第二の人生を送る。
・原画を保存する際に写真を撮ってデータベースを作ることで、原画を痛めず誰でも自由に閲覧や研究ができ、デ
ータをダウンロードすることで、誰でも自由に利用できるようにする。

街頭紙芝居を街角の風景に戻すことによる効果
<子供>

・家庭と学校以外の場をもつことで、「よその大人との社会」「年齢の異なる友達との社会」が得られる。
・家庭と学校以外の、社会のルールを学べる。(人間関係の作り方 / お金の使い方 / 礼儀など)
・地域に住む子供達を知っている紙芝居屋さんが街角にいることで、「安全な地域」になる。
<大人>
・仕事一筋だった定年退職者などが、地域に溶け込み次世代との繋がりを持てる。
・「地域の子供との時間」「地域貢献」「探究心」「風俗の保存」「年金外収入」などの生き甲斐をもてる。
<地域>
・「特色ある街づくり」「まちおこし」「地域内の繋がり」「地域活性化」「いじめやひこもり等の教育問題対策」など。

街頭紙芝居を街角の風景に戻すための対策
・メディア出演を通し、「価値 / 魅力 / 現状の認知」「復活への応援の声」を得ていく。
・カルチャースクールなどで講座を開き、興味を持つ人や取り組む人を増やしていく。
・メディアとしての特異性(いつもの公園がおじさんと子供たちとの場になり、またいつもの公園に戻る)を、現
代社会で生かせないか模索する。

舞台

butai

街頭紙芝居で使われる舞台は、「駄菓子や小銭を入れる箪笥」と「紙芝居を入れる額縁」が組み合わさったものです。

私の使っている舞台は、師匠である故・森下正雄さんから頂きました。

師匠と同じく長年街頭紙芝居をなさっていたお兄様、森下貞義さんの遺品です。

組み立て方

butai_a

butai_b

butai_c

butai_d

機能

sokumen_a

額縁の支えです。額縁が前傾するように、斜めにカットされています。

舞台の近くに集まる子供たちに、紙芝居を見やすくするための工夫です。

sokumen_b

このようになります。

haimen

額縁の裏には蓋がされていて、裏書きは読めません。

貸元が紙芝居を貸し出すことで商売していた街頭紙芝居は、当初ストーリーは口伝えで、裏は白紙でした。

のちに警察が検閲のため、裏書きを義務付けました。

hikidashi

街頭紙芝居ではとかく紙芝居が注目されますが、実は主役は引き出しに入っている駄菓子です。

紙芝居は、駄菓子を売るための客引きです。

師匠は手作りにこだわり、ご自分で作ったやきそばや寒天を入れていました。

ソースせんべいや水飴、かたぬきなど、入れる駄菓子はおじさんによって様々です。

fukku

舞台の下部側面には、2対のフックがついています。

自転車や原付の荷台に舞台をくくりつけるためのものです。

装飾

kazari_a

額縁上部の装飾は、富士山のような形をしています。

左右にも、同じような装飾があります。

kazari_b

絵を囲む木部には、掘り模様が施されています。

師匠の舞台の装飾は、もっと細かい細工が施されていました。

立派な舞台ほど、装飾が細かいそうです。

部材

totte

引き出しの1段目と2段目では、取っ手が違います。

rail

棚には敷居(襖のレール)が使われています。

底板は2種類の端材が継ぎ合わされています。

廃材をうまく利用した作りになっています。

街頭紙芝居が隆盛を極めたのは、昭和恐慌後や第2次大戦後など、決して豊かな時代ではありませんでした。

そんな時代の中での力強い暮らしぶりが、舞台から感じ取れます。

拍子木

IMG_3852

街頭紙芝居には欠かせない鳴り物、拍子木です。

風合いのある中古品はなかなか手に入らないので、オークションサイトにて¥1200ほどで購入しました。

下町風俗資料館

http://www.taitocity.net/taito/shitamachi/

作者情報

profile5

佐々木遊太

1982年生まれ。
デジタルメディアをシームレスにディレクションできる作家を目標に、
慶応義塾大学環境情報学部にてメディアデザイン、桑沢デザイン研究所にて基礎造形、
現在は東京大学大学院情報学環教育部にてメディアと情報技術を学んでいる。
大学卒業を前に個人事務所を立ち上げ、携帯向け連載アニメーション、ウェブサイト、
テレビ番組OPアニメーション、ミュージックビデオなどの制作を請け負う。
2005年12月、流動的な空間メディアとしての街頭紙芝居に興味を持ったことから、
「街頭紙芝居を街角の風景に戻す」を目標に、森下正雄さんほかご指導を受け始める。
2007年3月より台東区立下町風俗資料館にて森下正雄さんの前座を務め、現在に至る。
以降、街頭紙芝居保存に向け「紙芝居屋さんの型の継承」「カルチャースクール講師」
「原画のデータ化」「メディア出演」「街角の風景に戻す働きかけ」等を行っている。

1982年生まれ。

デジタルメディアをシームレスにディレクションできる作家を目標に、慶應義塾大学環境情報学部にてメディアデザイン、桑沢デザイン研究所にて基礎造形、現在は東京大学大学院情報学環教育部にてメディアと情報技術を学んでいる。

‘05年2月、大学卒業を前に個人事務所を立ち上げ、TVや携帯など各種メディア向けアニメーション、ミュージックビデオ、ウェブサイトなどの制作や企画をしている。チェコの国際アニメーション映画祭入選など受賞歴多数。

‘06年1月、仮設的なメディアとしての街頭紙芝居に興味を持もち、以降本業の傍ら、故人森下正雄さんと約束した「紙芝居屋さんを街角の風景に戻す」を実現するため、努力を続けている。まずは自分の住んでいる国立市から街角の風景に戻そうと、昨年、くにたち紙芝居を立ち上げた。

[受賞歴]
・第15回文化庁メディア芸術祭 エンターテインメント部門・審査委員会推薦作品
・アニフェスト国際アニメーション映画祭(チェコ) ビデオクリップ部門・入選
・1-click Award 2009 インタラクティブ部門・優秀賞
・1-click Award 2008 インタラクティブ部門・中村洋基賞
・NHKデジタルスタジアム丹下紘希セレクション 入選/オーディエンスセレクション
・NHKデジタルスタジアム箭内道彦セレクション 入選/オーディエンスセレクション
・TBS学生CM甲子園 FROGMAN賞
・慶應SFC Student Award 2005(優秀卒業制作)

RSS

http://www.sasaki-sasaki.com/kamishibai/?feed=rss2

お問い合わせ

sasaki@sasaki-sasaki.com